カール・テホ・ドライヤー『吸血鬼』(1931)@アテネフランセ文化センター

ドライヤーの作品に漂う「神聖さ」というのが、僕には『裁かるるジャンヌ』よりは宗教色が薄いはずの『吸血鬼』により濃く表れているように思える(もちろん『奇跡』には及ばないにしても)。それがまた、この映画が単なる吸血鬼もののホラーにとどまらない理由なのだろう。いったいどうやったら、こんな恐ろしい映画が撮れてしまうのだろうか。(松下)