マーク・バランスキー『ペネロピ』@テアトルタイムズスクエア

クリスティナ・リッチが豚鼻の女の子を演じる。彼女の大ファンとしてはなんとも気が乗らない映画ではあったが、そこはファンの宿命、いそいそと映画館に駆けつけてしまう。

この手の映画は過去に多く作られていて(最近だとファレリー兄弟の『愛しのローズマリー』やパロディとしてそれを扱った『シュレック』など。)どう呼ぶのかわからないが、一つのジャンルとして確立されているように思われる。『ペネロピ』もそのジャンルから大きな逸脱をすることもなく、物語は随所に笑えたり、しんみりしたり、感動したりするシーンを挿入しつつ無難に進んでいく。そして、このジャンルは行き着く結論もだいたい同じもので映画の始めのうちからその結論は読めてしまうものだ。『ペネロピ』にいたってはその結論を最後に子供が口にだして語ってくれるという親切ぶりである。この映画にはいくつかの魅力的なシークエンスは存在するが、先にも述べたようにそれが驚愕するほどの水準には達していない、実に無難な映画ともとれる。

だが、子供にたったひと言をしゃべらせるためだけに持続していたかに見える100分以上の時間が、僕にとってどうしてあれほど楽しい時間になったのだろう?なにが僕をあれほどスクリーンに引き付けたのだろう?それは豚鼻のクリスティナ・リッチの異常なまでのかわいさ、愛おしさにほかならない。豚鼻の女の子ただ一人に映画の物語が、映像が、音楽が圧倒的に凌駕されてしまっているかのようだ。まさかここにきて豚鼻の女に恋をしてしまうとは・・・不覚。(田村)

※以上の文章は、おそらくファン故の偏見に由来するものなので、ぜひ他の方の意見を伺いたいと思います。