アレクサンドル・メドヴェトキン『幸福』(1934)@アテネフランセ文化センター

クリス・マルケルが『アレクサンドルの墓』で再評価をしたメドヴェトキンだが、確かにこの作品の主人公グズを取り巻く人々は『ドックヴィル』の共同体と同じように国家や世界の縮図として提示されていて、単なる風刺喜劇では片付けられない政治性を孕んでいるように思う。と言っても、政治についてはめっぽう疎い僕には、この映画がスターリン政権下のプロパガンダとして成立しているのかすら判断できなかった。僕がはっきりと見てとれたのは、この映画に漂う、夢の中の世界のようなカルト性くらいである。(松下)