相米慎二『ラブホテル』(1985)@シネマアートン下北沢

『魚影の群れ』もそうであったが、これを見ると相米慎二が決して少年少女を描くことだけに長けた天才ではないことを改めて思い知らされる。『ションベン・ライダー』が灼熱の太陽のような傑作だとすれば、『ラブホテル』は新月の夜のような正真正銘の傑作である。深い悲しみにくれる夕美の姿は、大人になり、女性であることに疲れきってしまった『ションベン・ライダー』の河合美智子ではないかと見紛うほどだ。(松下)